第22回 2015年12月22日 冬至

 「冬至」とは、 北半球では一年でもっとも日が短く、夜がもっとも長い日のことです。これから、日脚は伸びていきますが、寒さはいちだんと厳しくなります。

 古代には、この冬至を一年の始まりとしていた時代もあったそうです。翌日から昼が長くなるので、陽射しに感謝し希望に満ちた新年を迎えたことでしょう。現代人でも、明日から日が長くなると思うと、厳寒の真っ只中でもなんとなく気持ちが明るく前向きになるような気がします。

 冬至といえば、ゆず湯とかぼちゃですね。ゆず湯に入る習慣は、「冬至」と「湯治」の語呂合わせからといわれますが、「融通(ゆうずう)」(=ゆず)がきく・・・という語呂合わせもあるようです。昔から冬至の日にゆず湯に入ると一年中風邪をひかないといわれます。
 また、かぼちゃを食べる理由は、冬至に「ん」のつくものを食べると運気が上がるという縁起かつぎからです。かぼちゃは「なんきん」とよばれますので。また、縁起かつぎだけでなく、かぼちゃには、βーカロチンやビタミンCが豊富なので、夏に採れたものを保存して食料の少なくなる冬に食べるという先人たちの知恵だったのでしょう。こちらも、冬至に食べると風邪をひかないとされています。

 ゆず湯に入ってかぼちゃを食べた後も、まだまだ年内の行事が続きます。忘年会、クリスマス、大掃除、おもちつき、お買い物、そして大晦日のおせち料理作り・・・目白押しです。すべてを終えたあとは、ようやく除夜の鐘を聴きながら年越しそばを食べ、いよいよ歳神様をお迎えします。

 今回取り上げるのは、クリスマス前夜、聖夜の「聖」と歳神様の「神」の文字です。

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「聖」  甲骨文字

 

 「耳」と「口」と下方の「てい」とを組み合わせた形です。

てい

 「てい」は、つま先で立っている人を横から見た形です。「口」は前回の「始」でも出てきました「さい」で、神への祈りの文である祝詞を入れる器です。

 

 「てい」の上に大きな耳を書いて、聞くという耳の形を強調した形です。古代の人の耳には、かすかな音で示される神の声を聞く働きがあると考えられていたようです。祝詞を唱え、つま先立ちして神に祈り、神の声を、神のお告げを聞くことができる人を「聖」といい、聖職者の意味となります。また、神の声を聡(さと)く理解することを「聡」といい、神の声を聞いて心に暁(さと)ることを「聴」といいます。

 

聖

 作品は、「アート・クラフトフェスティバル IN 神戸 2015」に出品したものです。
 
 二歳三ヶ月の男の子と一緒に過ごしているとき、なぜ気づくのだろう??見えていたの??音をたてないように、そーっとしたのに聞こえた??と不可思議なことがあまりにも日常的に起こるので、もしかして、私たちに聞こえない神の声が聞こえているのかもしれないとさえ思うときがありました。
 先入観や邪心、必要以上の知識を持たないおさな子には、私たちには見えないものや聞こえないものをふつうにキャッチできる能力が備わっているのかもしれない・・・と確信に近い思いでふとひらめいた言葉です。

『聖』
『見えないものが見えたり 聞こえないものが聞こえたり  君はまるで妖精だね』

 文明が発達しすぎたために、現代人は科学に頼りすぎてはいないだろうか?たしかに便利な世の中ではありますが、何かが退化しているような気がしています。古代人は、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚の五感のほかに、きっと第六感もかなり発達していて、狩りのときなど反射的に危険を察知して猛獣から身をかわしていたことと思います。また自然が荒れ狂う前に難を逃れる手立てを講じていたことでしょう。
 幼い子を見ていると、大人と違い第六感がとてつもなく発達していて、そういうところがどうしても古代人に重なってしまうのです。

神

「神」  金文

 

 もとの文字は、「申」です。「申」は稲妻(電光)の形です。稲妻は、天に御座します神の威光のあらわれと考えられていたので、金文では「申」を「神」の意味に用いています。「申」が神以外の「もうす」などの意味に用いられるようになったので、神を祭るときに使う机、祭卓の形の「示」を部首として「神」となりました。

 神とはもともと自然の事物や力を神として崇拝する自然神でしたが、金文の時代になると祖先の霊をも神として祭るようになっていたようです。

 作品は、2015年の個展「はじまりのとき」のものです。
心をひらいて遊ばせる、精神をほしいままに楽しむという意味の「游神(ゆうしん)」です。右から『游』 、左が今回取り上げています『神』 の文字です。稲妻の形に祭卓が添えられています。

 年賀状書きも追い込みの時期です。来年は「さる年」ですが、十二支の「さる」は「申」の文字を使います。古代文字で書けば、このように稲妻(電光)の形になります。走る稲妻のように、明るく勢いのある新年であればよいですね。


 今年もいよいよ残り少なくなってまいりましたね。今年のうちに、と忙しく動き回ることが多いので疲労がたまり免疫力低下になりがちです。巷では胃腸風邪も流行しているようです。うがい、手洗いを励行しましょう。そしてお部屋が乾燥しすぎると、インフルエンザウイルスが活発になるそうです。予防のため、湿度を50パーセント程度に保つのが理想のようですよ。
 体調を万全に整えてよいお歳をお迎えください。

次回は、1月6日「小寒」の頃に・・・

◇第1回 2015年2月4日 立春
      「春」
◇第2回 2015年2月19日 雨水
      「雪」 「男」
◇第3回 2015年3月6日 啓蟄
      「蛇」 「遊」
◇第4回 2015年3月21日 春分
      「陽」 「闇」
◇第5回 2015年4月5日 清明
      「桜」 「命」
◇第6回 2015年4月20日 穀雨
      「雷」 「眠」
◇第7回 2015年5月6日 立夏
      「夏」 「風」
◇第8回 2015年5月21日 小満
      「育」 「時」

◇第9回 2015年6月6日 芒種

      「雲」 「香」

◇第10回 2015年6月22日 夏至

      「舞」 「飲」

◇第11回 2015年7月7日 小暑

      「星」 「祭」

◇第12回 2015年7月23日 大暑

      「氷」 「郷」

◇第13回 2015年8月8日 立秋

      「秋」 「暮」

◇第14回 2015年8月23日 処暑

      「果」 「器」

◇第15回 2015年9月8日 白露

      「白」 「豊」

◇第16回 2015年9月23日 秋分

      「夜」 「月」

◇第17回 2015年10月8日 寒露

      「尊」 「喜」

◇第18回 2015年10月24日 霜降

      「栗」 「食」

◇第19回 2015年11月8日 立冬

      「冬」 「北」

◇第20回 2015年11月23日 小雪

      「降」 「新」

◇第21回 2015年12月7日 大雪

      「師」 「始」

◇第22回 2015年12月22日 冬至

      「聖」 「神」

◇第23回 2016年1月6日 小寒

      「吉」 「福」

◇第24回 2016年1月21日 大寒

      「鬼」 「還」